湯沢町
日本酒テロワールプロジェクト


湯沢町 日本酒テロワールプロジェクト

テロワールとはフランスのワイン用のブドウの産地から生まれた言葉で、その土地の気象条件や土壌、地形、標高などの自然環境から生まれる個性を生かしたワイン造りのこと。2024年、ここ湯沢町では雪深い山間地でありながらも、豊かな土壌と豊富な雪解け水を活かした酒米作りにチャレンジし、そのお米を地元で醸造する新しい取り組み「湯沢町日本酒テロワールプロジェクト」が始まります。

FEATURE

プロジェクトについて

プロローグ

2023年11月21日 湯沢町で作る越淡麗の栽培契約が締結されました
2024年度から湯沢町の水・湯沢町で作る酒米で新しい地酒を造る取り組み「湯沢町日本酒テロワールプロジェクト」が始まります。それに先立ち、白瀧酒造本社にて地元農家のさくらファームとの酒米の栽培契約が締結されました。

湯沢町"初"の酒米栽培

気候変動が逆にチャンスをもたらす可能性
周りを急峻な山々に囲まれた豪雪地帯の湯沢町では収穫が遅くなればなるほど霜が降りて失敗するリスクが高いといわれ、湯沢町では継続的に酒米を作る農家がいませんでした。越淡麗は新潟県で開発された品種で、冷涼な気候に適応しやすいため、「ここ数年の気候変動により、これまでできなかったことができるようになるかも」(さくらファーム今村さん)と考え、白瀧酒造とのチャレンジが始まりました。

オール湯沢で挑む酒造り

湯沢町の米作りと酒造り。経験と技術の結晶が生まれる。
越淡麗の酒米作りに向けては、さくらファームには農家のみなさんだけでなく、酒造りを担う白瀧酒造の松本杜氏、そしてスタッフのみなさん、湯沢町観光まちづくり機構のみなさんも加わり、総出で米作りから酒造りに至るプロセスを見守っていきます。「酒を造っていても米作りを見たことがない」「米を作っていても酒造りには携わることがない」、お互いの仕事を知ることでオール湯沢で挑む酒造りに一層熱がこもります。

酒米作り

SAKE RICE
米作りには、種まき・苗づくり、育苗・田植え、稲の成長・出穂、稲の成熟・収穫、乾燥・出荷という行程があります。今年、雪が少なかった湯沢町では田んぼの雪解けが少し早く終わった4月中旬から、霜が降りる前の9月末に収穫するスケジュールで酒米作りに挑むこととなりました。田植えの規模としては初めてのことでもあり、田んぼ12枚分、1町2反=約12,000平方メートル(3600坪)=約120a(アール)=約1.2ha(ヘクタール)という広さとなりますが、その作業量はとても多く、オール湯沢スタッフでお手伝いをしながら進めていくことになります。全員が未経験の酒米作りに対して、期待と不安を抱きつつ、声を掛け合い、一緒に汗をかきながら「湯沢町日本酒テロワールプロジェクト」はスタートました。

2024/4/10 浸種(しんしゅ)

いよいよお米作りのスタートです。
浸種とは、休眠状態の種もみに水分を吸収させ、発芽の準備をして目を出させる工程。
ここからすべてが始まります。

いよいよ酒米によるお米作りが始まる記念すべき日です。

米作りに向けた最初の作業は「種もみの浸種(しんしゅ)」。
農業従事者でなければ聞きなれない言葉ですが、簡単に言えば、お米の種を水に漬け込んで水分を含ませて芽を出す準備をすること。さくらファームの今村さんによると、「お米の種もみはそのまま田んぼに植えてもなかなか自発的に芽を出して育ってくれるという植物ではない」そうです。ですから、種もみから芽が出やすい環境を作り、刺激を与えながら芽出しの手伝いをしてあげなければならないとのこと。米作りは同じタイミングで作業を開始し、同じ大きさへと育った苗を田植えして、同じペースで育成して秋を迎えて一斉に収穫する必要があります。そのために重要なのがこの浸種という作業であり、細かい温度設管理、時間管理をして、種もみが一斉に芽を出すまでのとても大事な一歩なのです。

2024/4/19 播種(はしゅ・種まき)

標高約600mで雪深い湯沢町にようやく春が訪れた4月19日、
浸種で芽を出した種もみは苗づくりに向けて、播種(種まき)へと進みます。

越淡麗はコシヒカリと比べると丈が長いため、種もみから芽を出し、苗としては少し太めに成長させる必要があるそうです。そのために重要なのがすじまき。播種(はしゅ)ともいう稲の種まきの作業です。

酒米ならではの苗の育て方を行うための種まきの調整は播種機(はしゅき)で行います。
苗箱を播種機のレーンに流すとあっという間に土を入れ、水をかけ、種もみを乗せ、上から土をかぶせるという工程がノンストップで動くので、みなさん休む間もなく作業に追われます。
特に出来上がった苗箱を持ち上げて、積み上げていく係は3人で連携を取りながらやらないとちょっとしたミスで台無しになってしまうためにとにかく必死。
今回は、今村さんの奥さんも手伝いに来ていただき、さらには実家が農家だった白瀧酒造の富澤部長自ら積み上げ作業のラインに入り、一緒になってこの大変な作業を乗り切りました。

積み上がった苗箱の数は234枚。
今回は初めての酒米作りのため、いきなり大きな面積ではなく、一丁歩(1ヘクタール 100m×100mくらいの面積)の広さで作付けを行うので、そのためには十分な量の苗床となります。

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育苗(いくびょう)

播種が終わり、たった4日目。
芽出しの室に入った育苗箱を開けてみるとそこにはたくましい生命の息吹が。
あったという間に3cm以上に育った苗に必要なのは太陽の光。
そして苗箱は「芽出しの室」へと運ばれます。この室で3日間、32度~35度の環境で寝かされます。3日後には今日はほんの少しだけ出かけていた芽があっという間に1cmになります。たった1cm?と思いますが、写真のように苗箱が積み重ねられているものが、すべての種から芽が出ることにより、一気に上に押し上げられるそうです。気がつくと芽が伸びすぎて積み上げられた箱を崩してしまうほどのすごい力があるそうですから、ちゃんと様子を見ながら芽出しの確認をしなければ大失敗ということになりかねません。

この日は全部で234枚作った苗箱を1枚ずつ箱を地面に並べて苗をのびのびと育てるための準備です。先日の播種の段階より芽が出ている分だけ、重くなっているため積み下ろしから広げて並べる作業は大変。今日もみなさん総出で手伝ってもらいました。白瀧酒造からもスタッフが駆け付け、みんなで声を掛け合いながら作業を進めました。
4月26日 さらに3日後

カバーの中がどうなっているが心配でちょっと見に来てみました。

ドキドキしながらカバーをみけてみたところ。。。
心配無用。あっという間に元気そうな緑色の葉が伸びてきていました。本当にたくましいですよね~。
田植えまであと約2週間。それまでにどこまで成長しているか、本当に楽しみです。

田植え

たった3週間前に育苗箱に入った酒米「越淡麗」の種は
あっという間に10数センチの苗になりました。
たくましく成長した苗はいよいよ田んぼへと旅立ちます。
5月10日、田植えの日を迎えました。
5月10日 プロジェクトメンバー総出で酒米「越淡麗」の田植えです!

当日は快晴。

カバーをかけていた育苗箱の苗もすっかり大きくなり、生き生きとしたきれいな緑になっていました。
今日はその約15cmまで育った苗を水をいっぱい張って待ち受けている田んぼに1日かけて植えていきます。

さくらファームの今村さんと仲間のみなさん、白瀧酒造スタッフのみなさん、湯沢町観光まちづくり機構のみなさん、総勢15名がそろったところで田植えが始まります。

今回は田んぼ12枚分の田植えを行います。
1枚は1反=約1,000平方メートル(300坪)=約10a(アール)ですから、それの12倍となると1町2反=約12,000平方メートル(3600坪)=約120a(アール)=約1.2ha(ヘクタール)という広さとなりますと、よくある農業体験で一株ずつ手植えするとわけにはいきませんので、田植え機の登場となります。

さくらファームの今村さんが最新型の田植え機に乗って登場。田植え機のアームが1回あたり5~6本の苗をつかんで田んぼにさしこんでいきます。片道50mを約30秒かけて進み、ターンしての繰り返し。美しく水を張った田んぼにまだまだ細くて弱弱しそうに見えますが、ここまで無事にすくすくと育った苗が緑色のラインを作っていきます。

田植えがすんでここからは稲が無事に大きく育つのを待つ段階へ。
疲労感もありながら、満足感たっぷりの後姿を見せて田植え終了です。

湯沢町日本酒テロワールプロジェクトのぼり旗

稲の生育が心配で毎週のように田んぼに見に来るスタッフたちが
私たちのプロジェクトの越淡麗の田んぼにのぼり旗を設置してくれました。
田んぼの場所はJR上越線が360度ぐるりとループする日本でも珍しい場所にあるので
列車の中からも見える場所。

気がつけば田んぼは一面の濃い緑に。
稲の成長と共にスタッフの気持ちもますます盛り上がってきました。

出穂(しゅっすい)

苗が成長し、根が深く張り、葉が茂り、穂が形成され始めると「稲」と呼ばれるようになります。
田植えから約3ヵ月。
運よく台風や大雨の被害もなく、ここまで順調にグングンと育ってくれた稲は
8月9日、ついにこの日を迎えました。
出穂(しゅっすい)とは、穂が茎の先端から顔を出すこと。そしてそのことは、稲は花がつけて受粉をして、実を付けるための準備がはじまることを教えてくれます。これは稲作農家にとって、収穫が近づいていることを実感できる大切な瞬間なのです。
今年の出穂は8月7日。
ここまで夏の暑さにも負けず、順調に育ってきた稲たちもいよいよ開花の準備を始めました。
ここから約1週間で開花、そして受粉、結実へと一気に進んでいきます。

夏の暑さはまだまだ収まるところを知らず、最も心配な台風シーズンもこれから。
今年は特にカメムシの異常発生がニュースになっています。
とにかく心配事ばかりが重なりますが、収穫まであと1カ月半、何とかがんばってほしいと祈るばかりです。

稲刈り


コシヒカリより背の高い越淡麗。
台風の強風をしのいで無事、倒伏せずにまっすぐ育った稲穂が黄金色に色づきました。
9月25日、実がしっかり膨らんだことを見計らっていよいよ稲刈りの日となりました。

4月にはじまった寒冷地であり、標高400mを越える湯沢町でのはじめての酒米作りは
約6カ月の時を経て、ついに結実しました。
9月25日、1週間ほど前に降った雨により、田んぼの土がしばらくぬかるんでいたため、しっかりと乾いたこの日に「稲刈りを実施する」と今村さんから連絡が入りました。

「ついに来た!」プロジェクトメンバーの興奮は頂点に。

この半年、雨や風に負けないか、害虫被害にあっていないかなどと、ずっと気にかけ、時折生育を見に行っては安心し、無事この日を迎えた喜びは計り知れません。

この日は朝から快晴、今村さんの乗ったコンバインも軽やかに走っているように感じます。
今の時代はカマも不要で、コンバインまかせですから、メンバーは基本的に刈り取りを見守るのみ。

刈り取ったお米は全部で45石。1石150kgとして計算するとなんと6750kg=6.75トンもの越淡麗が収穫できたのです(涙)

こうして初めての酒米「越淡麗」栽培は無事終了!

今村さん、この半年、手塩にかけて育てていただき、誠にありがとうございました。

酒造り

SAKE Brewing
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商品

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純米大吟醸 無濾過 生原酒
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アクセス

ACCESS
会社名
白瀧酒造株式会社
住所 〒949-6101
新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2640
TEL
0120-85-8520(平日9AM-5PM)
定休日
土曜日・日曜日・祝日
その他弊社規定による
最寄り駅 JR越後湯沢駅

■電車でお越しの場合
JR越後湯沢駅東口より徒歩5分。

■車でお越しの場合
駐車場完備。
構内左隅のお客様駐車場をご利用ください。

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